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「子犬の育て方ガイドマップ~社会化編」に関連して思うこと

昨日のブログでは
一般の飼い主さんもご参加いただけるセミナー
「子犬の育て方ガイドマップ~社会化編」
をご紹介しました

「子犬の育て方ガイドマップ~社会化編」のご紹介

今日は別の角度から
「子犬の育て方ガイドマップ~社会化編」に関連して思うことを書きます

正直、「今日これから書こうとしていること」を書くのは
私にとってはかなり勇気が要ることです
精神力が必要です

セミナー紹介だけで終わるか…
相当迷いました

でも、何年も前からずーっと感じてきたことであり
One-to-Wanをオープンしてからも
プロとして仕事をしながら、ずっと考えてきたこと

読んだ結果として嫌な思いをする方もいるかもしれません
でも、この感情を押し殺したままで
犬の社会化…特に

あらゆる分野のプロと協力して
犬の社会化構造を変える

なんてことに、本気で向き合うことは
私には難しい

このプロジェクトの成功を信じて疑わない私からの
「私なりの問題提起」です

今日のブログをうっかり読んでくださった方にとって
ひとつの意見として前向きに受け止めていただけるよう
心を込めて書きたいと思います

書けるかな…(^-^;

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「犬の社会化がクローズアップされてこなかった」ということ

「犬の社会化」が
浸透しない(浸透してこなかった)
定着しない(定着してこなかった)
のには主に2つの理由があると思っています

ひとつは、「社会化」というこの言葉そのもののわかりにくさ

もうひとつは、日本における犬の価値の低さ

「社会化」と言われて、すぐピンときますか?

「社会化期」と聞いて
そもそも「しゃかいかき??」になりませんか?
(漢字が浮かばない=意味を成さない)

「社会性を身に着ける」と言われて
補足なしで犬がどうなるのがゴールなのか、頭に浮かびますか?

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この「犬の社会化」という言葉は
英語のdog socializationからきています
(個人的にはdog socialisationと書きたい。。。笑)

何が言いたいかというと
未だに「犬の社会化」が外来語だと言うことです

外来語が文化である「言語」として定着するには
一定のプロセスを経るはずです

少し遠回りになりますが
意図したいことをわかりやすくするために例を出します

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「セクハラ(セクシャルハラスメント)」という言葉

最初、日本に入ってきたときは
きっとみんな、ハテナでした

それが今や、ハラスメントという言葉はすっかり日本語として定着し
わざわざ「ハラスメント」の意味を説明しなくても、みんなが使えるようになりました
(みんなが使えるなんて、ある意味残念な状態ですけど!笑)

パワハラに、モラハラ、マタハラ…

この残念な言葉が定着した理由は
日本という文化の中に「その(困った)状態」が存在していたにもかかわらず
それを的確に一言で表現できる言葉が日本語になかったからだと思います

最初は、「ハラスメントとは?」という言葉の定義、説明が必要でした
でも今はいちいち定義を確認したり、説明したりが不要な言葉

つまり、文化の中に定着した、ということです

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では、「ドッグソーシャライゼーション」という言葉はどうでしょうか?

今日のブログは調べもせず書いてますので
背景はわからないですが
どなたかが最初に翻訳して、この考え方を紹介したんだろうと思います
…どれくらい前だろう?(^-^;

「犬の社会化」

この言葉の歴史は、私が感覚として持っているよりもずっと、長いのではないかと思っています
でも定着してこなかった

言葉の定義は存在するはずです
ただ、具体的にどういうことを指すのか
わかりやすく明確に定義・説明してこられなかった

でも、犬がより深く私たちの生活に入り込んできて
人との関係性がより密接になってくるにつれて
犬の問題行動に対する危機意識が強くなり
「社会化」の重要性が以前よりは認識されるようになってきたのではないでしょうか

でもまだまだ
感覚的には「外来語」のままなんです
文化として定着しているとは言い難い状態

事実、セミナーの申し込みサイトで紹介されていた
ドッグダイヤモンドのブログの中に
こんな記述がありました

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この言葉はそれぞれで感じ方も違うし、広い意味で捉える事が出来るので
明確な定義はないのかもしれません
ここでは僕の考える社会化
社会性のある犬=生涯で感じるストレスを減らせる犬
犬の社会化=生涯に感じるストレスを減らしてあげる作業、と定義する事にします

*—–*—–*—–*—–*—–*—–*—–*—–*—–*—–*

このプロジェクトを本気で推進するにあたって
これではダメなんじゃないかと思いました

「僕の考える」ではなく
世に「本気で定着させるため」の定義

外来語でなく、日本語になるための定義

狭義での定義、広義での定義
「犬の社会化」に関わる人たちにとって
矛盾のない定義が必要です

定義とは、それが何を意味するかの根幹を成すもの

文言が修正されたりしてもいい
今後追加されてもいい
それでもまずは、定着させたい明確な定義が必要だと思います

そしてセミナーは
それを説明する場、目指す方向性を明確に示す場になっていて欲しいと思います

幸い?困ったことに?
私たちの生活の中に「社会性が圧倒的に不足しているわんちゃんを作りだしてしまう状態」が存在していて
「社会化」という言葉そのもの
そして、社会化の重要性が理解されやすい状況が整っています

だからこそ
セミナーを受講しない、できない方々にもわかりやすい
明確な情報発信を期待します

そして、情報発信と活動を通じて
「犬の社会化」が定着していくことを切に願っています

「本当の意味」とは?誰にとって「正しい」か?

セミナー内容や告知などを読んでいて、非常に気になる言葉があります

「本当の」「正しい」

これば誰が決めた「本当の」「正しい」で
誰にとっての「本当の」「正しい」なのでしょうか?

ここにひっかかりを覚えるのには
いくつか理由があります

ひとつは、立場が変われば見方が変わり
見解が変わるのは当然だからです
なのに「本当の」「正しい」を使うということは
真っ向からの否定につながるからです

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数日間、動物病院がらみの話を書いてきましたが
あるときこんなことがありました

ヒナ(うちの下のコ)の皮膚を見て、先生がおっしゃるのです
「状態いいね!」

一瞬怯みました

そのときの私は、ヒナの皮膚の状態の悪さに
どうしたもんかなぁ…と悩んでいたからです
先生にはきれいに見える皮膚が
私には悩むレベルの状態に見える

冷静に考えれば、何の不思議もありません

獣医である先生は
皮膚の炎症やかゆみ、脱毛などで皮膚を見るのに対し
グルーマーである私は
皮膚が健康的かで皮膚を見ます

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こうしたズレが、関係者の間で普通に起こっています

どちらが正しい、ということではなく
どちらも正しく、どちらも間違っていないのです

それに対して

貴方はわかってない
貴方は間違いだ
本当の意味を教えてあげよう

そうしたアプローチは、何も成さず
むしろ、無駄に抵抗勢力を生むだけではないでしょうか

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犬の社会化最適期を30~90日と定義した場合
「犬の社会化構造を変えよう」とする上で

より影響力を持つのは
獣医さん、ブリーダー、ペットショップ、飼い主さんです

でも、この社会化最適期はあくまでも「社会化」のスタート期であって
この期間に「社会化」が完結するわけではありません

また今現在のように
その期間を社会化のスタート無しですり抜けてしまうわんちゃんは今後も続くでしょう

どちらの状況においても
重要な役割を担うのはトレーナーです

私はこの「トレーナー」という存在が
もっとも厄介だと思っている
これが、ひっかかりを覚えるもうひとつの理由です
(爆弾、すみません…)

情報収集のため、複数のSNSをなるべくチェックするようにしていますが
何か炎上してるな~、と思うと
必ずと言っても過言ではないほどに、トレーナーが絡んでる

先日も久しぶりに開いたSNSで
刺だらけのコメントが並ぶのをよくよく見てみたら
グルーマーの呟きに、トレーナーがかみついてる

トレーナーにトレーナーがかみつく
グルーマーにトレーナーがかみつく

いいじゃん
いろんな考え方があって

白か黒、ゼロか百、正しいか間違い
どうしてどちらかでないといけないのでしょうか?

自分とは異なる意見や方法論があったからって
それで「貴方に、貴方のお仕事に、貴方が関わっているわんちゃんや飼い主さんに、何の実害があるの?」

そう心の中でため息をついて
SNSを閉じるのです

わんちゃんの幸せに
飼い主さんの幸せにつながるはずの仕事なのに
それを置き去りにして
場外乱闘をしているような感じ

相手を非難したり、否定しなくたって
貴方がしていることの価値は下がりませんよ…

私自身も、グルーミングトレーニングに関して
あるトレーナーに
「(トレーナーでない)素人が余計なことをするな」
と言われたことがあります

この業界のプロである、ひとりひとりがかかわっている
わんちゃんが、飼い主さんが、笑顔になる

そのために学び、悩み、努力している

それだけじゃ、ダメですか?

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改めて言います

「本当の」「正しい」

これば誰が決めた「本当の」「正しい」で
誰にとっての「本当の」「正しい」なのでしょうか?

その想いは、言葉は
誰かを、何かを、全面否定することにつながっていませんか?

単なる、私の勝手な杞憂であるならごめんなさい

でも、本気で
あらゆる分野のプロと協力して
犬の社会化構造を変える

なら、それぞれの考え方を尊重する、柔軟な姿勢を切に望みます

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長くなって、本当にごめんなさい

子犬を迎えたら
「早速社会化、始めないとね」

これが当たり前になる社会の実現

問題行動を正すのではなく
問題行動が発現しにくい環境の実現

私に何ができるかわかりませんが
一助となれることがもし、あるならば
できることをやっていきたいと思います

ここまで辛抱強く読んで下さった方へ
ありがとうございました

プロジェクトの成功を願うひとりの意見として
受け取っていただければ嬉しいです

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